CASE STUDY / 導入事例
フィットネスジム

“続けてほしい”想いが、量産の一斉配信で薄まっていた。通い放題サブスク×AIパーソナライズ配信で体験入会率を約57%・継続率を約87%にしたヨガ/ピラティス スタジオのデータ全公開

2026.06.28

ヨガもピラティスも、続けてはじめて体が変わる。——けれど、初めて体験レッスンに来てくれた人が2回目に足を運んでくれる確率は約3割。そこを越えて3回通ってもらえれば、その後は約9割が定着する(POS+/タカラベルモント)。効果を実感する前に辞めてしまう「最初の数回」をどう橋渡しするか——それが、体験型スタジオの売上を左右する。都内で少人数制のヨガ/ピラティス スタジオを営むある店は、月額「通い放題」サブスクを軸に、LINEのデータでこの“2回目の崖”を越えにいった。レッスンという体験の温度を保ったまま、どう「通う習慣」を設計したのか。その全プロセスを公開する。

舞台は、少人数制の“通うほど自分が整っていく”スタジオ

舞台は、都内の駅から少し歩いた静かな通り沿いにある、少人数制のヨガ/ピラティス スタジオだ。1クラスの定員は絞られ、インストラクターが一人ひとりの体の癖や呼吸を見ながら声をかける。鏡張りの明るいスタジオには大きな窓から朝の光が差し込み、観葉植物が並ぶ。通うのは、デスクワークの肩こりや姿勢を整えたい働く女性、産後の体力を戻したい人、運動が苦手でも続けられる場所を探していた人たち——目的はそれぞれ違うが、共通しているのは「自分のペースで、長く続けたい」という気持ちだ。

運営はオーナーインストラクターを含む少人数。会員は口コミと体験レッスンで着実に増えていた。だが、増えていく会員リストは、ただの“名簿”でしかなかった。「誰が毎週来てくれていて、誰が最近顔を見せていないのか。それを正確に言えるのは、受付に長くいるスタッフの記憶だけでした。体験に来てくれた方が、その後どうなったのかを追えていなかったんです」。オーナーはそう振り返る。

データで見る、LINE配信の“不都合な現実”

施策の話に入る前に、まず業界の数字を直視したい。LINE公式アカウントには、業種ごとにくっきりとした“ブロックの壁”がある。

業種LINEブロック率(中央値)
日用品19.1%
飲食22.8%
化粧品34.8%
人材35.8%
医療・美容37.0%

出典:Social Plus「LINE公式アカウントのブロック率」2024年調査(友だち1,000人未満を除外)。平均ブロック率は29.7%。ヨガ・ピラティス・フィットネスなどのウェルネス業態は個別には公表されていないが、平均29.7%が一つの目安になる。

さらに重要なのがブロックの理由だ。消費者調査では、LINE公式アカウントのブロック経験は70%、その理由の第1位は「配信の頻度が多すぎる」(26.5%)(モビルス2025・655名)。つまり“たくさん送る”ほど切られる。一方で、LINEの国内月間利用者は約9,800万人(2024)から2026年には1億人を突破(LINEヤフー公表)、60代以上の利用率も69.0%。リーチの母数は巨大なのに、配信の仕方を間違えると、その大半に届かなくなる。

このスタジオにとって、ブロックは単なる数字の問題ではなかった。「一緒に続けましょう」と伴走したい店が、毎週のように“本日空きあり”“今だけキャンペーン”を一斉送信すれば、その想いが安っぽい売り込みに見えてしまう。リーチを取りにいくほど、続けてほしい相手から距離を取られていく——この矛盾が、最初の壁だった。

体験型ビジネスの“継続の崖”——なぜヨガ・ピラティスは続かないのか

ヨガやピラティスには、他の体験サービスにない難しさがある。効果の実感に時間がかかるのだ。1回受けただけでは、姿勢も体力も劇的には変わらない。だからこそ、続ければ必ず変化が出るのに、その手前で「なんとなく行かなくなる」人が多い。冒頭のデータ——初回リピート約3割、3回通えば約9割定着——は、まさにこの構造を表している。最初の数回を、効果が出るところまで“つなぐ”ことができれば、継続率は一気に跳ね上がる。

もう一つの壁が、レッスンという“予約のひと手間”だ。行きたい気持ちがあっても、「今週はどの枠が空いているか」「予約を取るのが面倒」という小さな摩擦が、足を止める。体験型ビジネスは、感動だけでは続かない。“通うことが、考えなくてもできる習慣になる”ところまで設計して、はじめて継続が成り立つ。

なぜ「通い放題サブスク」なのか——習慣をつくる課金設計

このスタジオが選んだ軸は、月額「通い放題」のサブスクだった。1レッスンごとの都度払いではなく、定額で“いつでも通える権利”を持ってもらう。これは単なる料金プランの話ではない。「今日は行くか、お金を払ってまで行くか」という毎回の判断を、なくすための設計だ。

都度払いのままだと、人は毎回その判断をする。その小さな摩擦が、2回目・3回目の足を止める。通い放題なら、判断コストが消える。「せっかく入っているのだから、今日も寄っていこう」——その心理が来店頻度を底上げし、効果が出るところまで“通う回数”を稼いでくれる。冒頭のデータ(3回通えば約9割が定着)を、サブスクが構造的に後押しするわけだ。

サブスクラインでは、こうしたサブスク(通い放題・回数券)をLINE上で完結して提供できる。会員はLINEから申し込み、決済し、来店時はLINEの会員証を提示するだけ。「申し込む」「払う」「通う」が一本の動線になる。スタジオ側は、誰がどのプランで、いつから何回通っているかをデータとして把握できる。名簿が、初めて“通う人の記録”に変わった。

入口でつまずかせない——あいさつ+ステップ配信で体験を入会につなぐ

最初に整えたのは、体験レッスン直後・入会直後のオンボーディングだ。体験に来た直後は、最も気持ちが前向きな瞬間であり、同時に最も離れやすい瞬間でもある。ここを“放置”すると、せっかくの体験が一度きりで終わる。

そこで、友だち追加や体験予約をトリガーにあいさつメッセージとステップ配信を自動化した。1通目は歓迎とスタジオの想い・通い方の流れ、数日後にレッスンの選び方や続けるコツ・初心者が陥りやすいつまずき、さらに後日に通い放題プランの案内——と、急かさずに、しかし確実に“2回目への橋”を架ける。インストラクターが一人ひとりに手作業で送る必要はない。一度設計すれば、新しい体験者全員に、同じ丁寧さで届く。

「体験の後、何も届かなければ、人はスタジオのことを忘れます。逆に、ちょうどいい間隔で“あなたを歓迎しています”“続ける価値があります”が届けば、もう一度行こうと思える。その入口の設計を、仕組みに任せられたのが大きかった」。

レッスン予約のひと手間を、LINEで消す

継続の摩擦になっていた“予約のめんどうくささ”も、LINEに寄せた。会員はトーク画面のメニューから空き枠を確認して予約でき、レッスンの前日にはリマインドが自動で届く。「予約を忘れて行きそびれた」「枠が埋まっていて諦めた」をなくすことが、地味だが効く。通う動線の途中にある小さなストレスを一つずつ消すことが、習慣化の土台になる。

さらに、予約データそのものが運用の資産になる。「先週予約していたのに来られなかった人」「いつも同じ曜日・時間に通う人」「しばらく予約が途絶えた人」——その動きが見えれば、次に誰へどんな声をかけるべきかが、感覚ではなくデータで分かる。

解決の核:AIパーソナライズ配信——配信を「1人ずつ」に変える

ステップ配信で“2回目”をつくった先で、このスタジオが最も価値を感じたのがAIパーソナライズ配信だ。これは、配信対象の一人ひとりに合わせて、文面・画像をAIが個別に生成する機能だ。来店履歴、よく受けるレッスン、通う曜日・時間帯、そして入会時に聞いた目的(姿勢改善・ダイエット・リフレッシュ・産後ケア)を踏まえ、「前回から少し間が空きましたね。今週は得意な火曜夜の枠に空きがあります」「姿勢改善を続けている方へ、新しい肩甲骨まわりのクラスが入りました」といった“その人あての一通”を、人手をかけずに用意する。

続けてほしい相手に向き合う店にとって、これは決定的だった。量産のお知らせは想いを薄めるが、“自分宛て”の一通は、レッスン前から伴走の一部になる。送る相手だけでなく“中身”まで一人ひとりに合わせることで、配信そのものが、関係を削るどころか、むしろ「ちゃんと見てくれている」という信頼を積む接点に変わった。

そして何より重要なのが、送信前に必ずスタッフが確認・承認すること。AIが勝手に送ることはない。AIはあくまで下書きまで。最後に送るかどうかを決めるのは、いつも人だ。スピードと、関係を守る慎重さ。その両立が、一人ひとりと長く付き合う体験型ビジネスでも安心して使える理由になった。

一斉配信 vs AIパーソナライズ配信——同じ条件で比べたデータ

このスタジオが同条件で比較したところ、差は明確だった。

一斉配信AIパーソナライズ配信
配信の中身友だち全員に同じ1通1人ずつ、来店歴・目的(姿勢改善/ダイエット/産後ケア等)に合わせてAIが文面・画像を生成
体験との一貫性「続けてほしい」想いが、量産のお知らせで薄まる“その人あての一通”で、レッスン前から伴走している実感が続く
反応率(URLタップ)約4%約12%(約3倍)
ブロックされやすさ通数が増えるほど切られやすい下がる(一通の関連性が上がる)
配信の手間スタッフが手作業で1通ずつ考えるAIが下書き → 人が確認して送る
送信の安全性送信前に必ずスタッフが確認・承認

配信の反応率(URLタップ率)は、一斉の約4%から、パーソナライズで約12%へと約3倍。そして“自分向け”の情報が届くほど、ブロック率は約28%から約17%へと大きく下がった。送る数を増やしたのではない。一通の精度を上げた結果だ。

なぜ、関連性が上がるとブロックは減るのか

理屈はシンプルだ。ブロック理由の第1位は「頻度が多すぎる」(モビルス2025)。裏を返せば、“自分に関係ない配信”が多いほど、頻度が「過剰」に感じられる。逆に、一通一通が自分向けなら、同じ通数でも“ちょうどいい”に変わる。AIパーソナライズは、配信の関連性そのものを引き上げることで、頻度の体感を下げ、ブロックを減らす。このスタジオは月8回だった配信を月4回へ意図的に減らし、その分、一通の質に振り切った。送る数ではなく、一通の関連性で勝つ——続けてほしい相手がいる店ほど、この発想が効く。

セグメント配信+クーポンで、“空いている枠”に来やすい人を呼ぶ

レッスン制スタジオの悩みは、人気の枠と、ガラ空きの枠が極端なことだ。来店・予約データを使えば、会員を最終来店日・受講レッスン・通う曜日/時間帯・目的で絞り込める。サブスクラインのセグメント配信で、「平日昼に通える層」「朝ヨガによく来る層」「しばらく予約が途絶えた会員」を切り出し、その層に、その枠に向けた案内だけを送る

週末や夜の人気枠は黙っていても埋まる。だから割引は打たない。代わりに、平日午後や午前の“谷”の枠に来やすい層へ、続けやすくなるささやかな後押し(ドリンク1杯サービス、レンタルマット無料など)を届ける。常連に不要な値引きを連発して単価を削ることなく、埋めたい枠を、来やすい人で埋める。配信が“全員への安売り”から、“需要の最適配置”に変わった。

リッチメニューの出し分けで、会員と未会員に“別の入口”を見せる

LINEのリッチメニュー(トーク画面下のメニュー)も、全員に同じものを見せる必要はない。サブスクラインでは、通い放題の会員と、まだ体験前の未会員とで、リッチメニューを出し分けられる。

通い放題の会員には「レッスン予約」「会員証」「今日の空き枠」を大きく。まだ入会していない友だちには「体験レッスンを予約」「通い放題プランを見る」を前面に。同じ公式アカウントなのに、相手の状態に合わせて“次の一歩”だけを差し出す。迷わせない動線が、体験から入会への転換を後押しした。実際、体験レッスンからの入会率は約40%から約57%へと伸びた。

会員証・ポイントで、“通うほど続けたくなる”を可視化する

通い放題の体験を支えたのが、LINEの会員証とポイントだ。来店時はスマホのLINE会員証を提示するだけ。財布もカードもいらない。そして来店や利用に応じてポイントが貯まり、物販やオプションに使える。

ポイントは単なる値引きの仕組みではない。「通うほど、自分がこの場所に積み上げてきた」という実感を可視化する装置だ。来店が記録され、ポイントが積み上がり、会員ランクが上がっていく。効果がまだ出ていない序盤でも、“続けてきた証”が目に見えることが、解約の手を止める。サブスクの継続率は、こうした“通う実感”の設計に支えられている。

AIエージェントが、“次の一手”を提案し続ける

ここまでの分析と配信を、毎日人手で回すのは現実的でない。少人数で運営するスタジオならなおさらだ。そこで効いたのがAIエージェントだ。来店・予約データと売上を読み、「先月から予約が途絶えた18名へ、掘り起こしの一通を」「平日昼の谷の枠に、この層を」「通い放題の継続◯ヶ月の会員へ、感謝の特典を」といった打ち手を、根拠つきで提案する。

そして何より重要なのが、AIが勝手に送らないこと。提案された配信は、必ずスタッフが内容を確認し、ワンタップで承認して初めて実行される。分析 → 提案 → 承認 → 実行のループが回り、「忙しくて今月まだ何もしていない」がなくなった。最後の判断は、いつも人が握っている。属人化していた“受付の記憶”が、仕組みとして回り始めた。

結果、配信の作成から実行までの工数は約7割削減。空いた時間は、レッスンの質と、目の前の会員一人ひとりへの声かけに戻せた。

導入後の成果

導入後の成果(BEFORE → AFTER)
体験レッスンからの入会率
約57%
約40% から改善
体験後の2回目来店(継続)率
約52%
約30% から改善
配信の反応率(URLタップ)
約12%
一斉 約4% → 約3倍
月額通い放題の3ヶ月継続率
約87%
“通う習慣”が続く設計に
LINEブロック率
約17%
約28% から低減
既存会員のLTV
+27%
来店頻度×客単価の向上

配信を減らしたのに、反応は増えた。送る相手だけでなく“中身”まで一人ひとりに合わせ、通い放題で“通う習慣”を設計したことで、ブロックは下がり、体験からの入会と2回目来店が増え、サブスクの継続率が高い水準で安定し、既存会員のLTVが伸びた。一緒に続けたいという想いを一切崩さずに、データは明確に動いた。

お客様・スタッフの声

自分の目的やいつも来る時間に合った案内が届くので、つい開いてしまいます。“そろそろ行きたいな”と思っていた頃に、得意な曜日の空き枠の連絡が来るんです。

── 通い放題会員(30代・女性)

通い放題にしてから、“今日はやめておこうかな”が減りました。予約もリマインドもLINEで完結するので、行きそびれることがなくなって、体が変わってきた実感があります。

── 通い放題会員(40代・女性)

会員さんの来店歴や受講レッスンが画面で分かるので、受付やレッスン前の声かけが具体的になりました。配信も、送る前に必ず確認できるので安心です。

── 受付・インストラクター

何を、いつ、誰に送るべきかをAIが提案してくれるので、少人数でも配信が止まりません。ブロック率を見ながら頻度を調整できるのも大きいです。

── スタジオオーナー

これからの展望

次に見据えるのは、来店データと体の変化・満足度を組み合わせた“一人ひとりの継続プラン”の提案だ。データが積み重なるほど、AIの提案はこのスタジオらしく賢くなる。姿勢改善を続ける人へは次のステップのクラスを、産後ケアの人へは体力に合わせた無理のないペースを——。「送る数」ではなく「届く精度」で勝負する方針は、会員データが厚くなるほど効いてくる。サブスクの解約を減らし、一人の会員と長く付き合うほど、その価値は複利で積み上がる。

検討中のヨガ・ピラティス・体験型スタジオオーナーへ — 店長からのメッセージ

「会員を名簿で持っているだけでは、宝の持ち腐れです。通い放題で“通う習慣”をつくり、来店と予約が記録されるだけで、誰が続けていて、誰が離れかけているかが見えてくる。あとは、空いている枠に、その人あての一通を送るだけ。難しい運用はAIが提案・下書きしてくれて、送る前は必ず人が承認します。効果が出るまで時間のかかる体験型こそ、“1人ずつ”の伴走が効きます。量産のお知らせで関係を削るのは、もうやめにしませんか。まずは無料で、自分たちのデータで試してみてほしい」。

まとめ:続けてほしい店こそ、“1人ずつ”で勝つ

LINEの平均ブロック率29.7%、ブロック理由1位は「頻度」。一方で国内利用者は1億人規模、3回通えば約9割が定着——。巨大なリーチと、高い離脱が同居するのがLINEの現実だ。効果の実感に時間がかかるヨガ・ピラティスにとって、量産の一斉配信は、ブロックされる前にまず「続けてほしい」という想いを安売りに変えてしまう。この矛盾を解く鍵は、“誰に”の先の“何を”、つまり配信を1人ずつに変えることにある。通い放題サブスクで“通う習慣”を設計し、ステップ配信とレッスン予約で入口と動線を整え、セグメントとリッチメニューで“次の一歩”だけを差し出し、AIパーソナライズが関連性を上げてブロックを下げ、AIエージェントが運用を止めずに回す。最後は必ず人が承認する。送る数ではなく一通の精度で勝つ——それが、伴走の温度を守りながら会員を増やし、継続率とLTVを伸ばした道筋だった。

データ出典:LINEブロック率・業種別ブロック率=Social Plus「LINE公式アカウントのブロック率」2024年調査(友だち1,000人未満を除外/平均29.7%)。ヨガ・ピラティス・フィットネス等のウェルネス業態は個別公表が無く、平均値を目安として参照。ブロック経験70%・理由1位「配信の頻度が多すぎる」26.5%・60代利用率69.0%=モビルス2025(655名調査)。国内LINE利用者数=LINEヤフー公表(約9,800万→2026年1億突破)。新規リピート約30%・3回来店で約90%継続=POS+/タカラベルモント。LINE開封率「約60%」は業界通説で一次出典が乏しく、諸説あります。当該スタジオ個別の数値(体験入会率・2回目来店率・反応率・サブスク継続率・ブロック率・LTV)は当該スタジオの実績にもとづく値です。

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