人気ショーの観覧席は、先着順にすると開園直後から行列ができる。早く来られた人だけが席を取り、遅れて着いた家族は、着いた時点で満席を知る。かといってWebで抽選を受け付ければ、来園していない人まで応募できてしまう。ある動物園では、この観覧席を「園内にいる人だけが、平等に応募できる抽選」に置き換える流れをサブスクラインで組み、本番環境で、締切後の一括抽選から当選の自動失効までを動かした。2026年9月の全経路検証と、10月18日の現地デモの記録を、そのまま公開する。
舞台は、開園直後から行列ができる人気ショー
観覧席の定員は300名。開園と同時に人が並び始め、休日は定員を超える来園者が並ぶ。並べた人だけが観られる状態は、「早く来た人だけが得をする」という不満を生む。一方で、行列をなくすためにWebの抽選に切り替えると、今度は来園していない人の応募が混ざる。
求められていたのは3つを同時に満たすことだった。①園内にいる人だけが応募できる。②応募した人には平等にチャンスがある。③当選したのに来ない人の席を、無駄にしない。

抽選の流れ。6つの段階すべてを本番環境で動かした
仕組み:QRで「入園」の印を付け、印がある人だけが応募できる
位置情報(GPS)は使わない。園内に掲示したQRコードをLINEで読むと、その人に「入園」の印(ラベル)が付く。抽選はこの印を応募の条件にしているため、URLがSNSなどで拡散しても、園内でQRを読んでいない人は応募できない。10月18日の11:00の回は、次の設定で本番に作成した。
| 項目 | 本番の設定値 |
|---|---|
| 応募条件 | 園内のQRを読んで「入園」の印が付いた人だけ |
| 定員 | 300名(1組最大4名) |
| 受付締切と抽選 | 10:30に締め切り、自動で一括抽選 |
| 参加確定の期限 | 当選から60分以内に「参加する」を押す |
| 入場期限 | 12:00(入場が無い参加確定は自動で取り消し、空いた席は繰り上げへ) |
| 席の区分と番号 | 最前列60名(F-1〜)/椅子席140名(C-1〜)/立ち見100名 |
出典:本番の管理画面に登録した設定値(2026年10月16日作成)。

管理画面の抽選設定。応募に必要なラベル、確定期限、入場期限、繰り上げ締切まで1画面で決める
印が無い人は、応募ボタンそのものが出ない
印が付いていない人が応募ページを開くと、内容は読めるが、応募のボタンの代わりに「この抽選には応募できません」と表示される。応募条件の説明も同じ画面に出るため、「なぜ応募できないのか」で問い合わせが増えることもない。

印が無い人の画面(本番環境)
10月18日、本番で起きたこと
現地デモ当日の動きを、本番データベースの記録から時刻順に並べる。抽選と失効は、どちらも人の操作なしで実行された。
| 時刻 | 起きたこと |
|---|---|
| 9:37 | 印の付いた端末から、11:00の回へ応募(応募は締切まで受付) |
| 10:30 | 締切と同時に、一括抽選が自動で実行 |
| 11:31 | 参加確定の期限(当選から60分)を過ぎた当選が、自動で失効 |
出典:本番データベースの応募記録と抽選記録(2026年10月18日)。印の無い人が応募できないことは、10月16日に本番で確認。
当選と同時に、席の区分と番号まで決まる
応募と同時に当落を決める「即時抽選」の回も、同じ日に動かした。当選すると、その場で席の区分と番号(例:最前列 F-1)が決まり、「参加する」を押すと入場用のコードが表示される。窓口で番号札を配る必要も、席を決めるために並ぶ必要もない。

即時抽選で当選し、参加を確定した画面(本番環境)。席は最前列 F-1
9月には、16通りの流れを本番で検証していた
現地デモの前、2026年9月4日に、本番環境で抽選の全経路を検証した。応募から繰り上げまで、途中で起こりうる分岐を1つずつ通している。
| 段階 | 本番で確認した内容 |
|---|---|
| 応募と抽選 | 応募と同時の即時抽選/締切時刻での一括抽選(自動実行) |
| 結果の通知 | 当選・落選をLINEで通知 |
| 参加確定と入場 | 参加確定のあと、来場者の画面・管理画面のボタン・受付端末のスキャンの3通りで入場 |
| 取消と繰り上げ | 当選の取消、空いた枠の繰り上げ当選 |
| 結果 | 16通りすべて正常に動作。エラーログは0件 |
出典:2026年9月4日 本番環境での検証記録(APIと定期処理のエラーログを含む)。
まだ確認できていないこと
この事例は、本番環境でのデモと検証の段階のもので、来園者への一般公開の運用はこれからだ。応募は担当者の端末で行った。また、午後の回には「午前の回に入場した人は当選確率0%」という設定(同じ人に当選が偏らないための設定)を入れたが、午前の入場者がいなかったため、この設定が実際に効く場面はまだ確認できていない。
ほかの現場に置き換えると
同じ組み方は、来場が一時に集まる場面ならどこでも使える。イベント会場の物販の購入権、ライブや体験会の観覧枠、テーマパークのアトラクション整理券など、「その場にいる人だけに」「平等に」「来ない人の枠を無駄にせず」配りたいものがあれば、会場のQR・一括抽選・自動失効・繰り上げの4つで組める。
